前回著作権とはとても多くの権利に枝分かれしてます~ということをお話ししました。
今回は、その中の一部の著作者人格権にスポットを当ててお話ししたいと思います。
著作者人格権とは
著作者人格権は次の3つに分かれます。
・公表権
・氏名表示権
・同一性保持権
ではひとつひとつ見てみましょう。
公表権
まだ公表されていない自分の著作物について、それを「公表するかしないかを決定できる権利」です。(著作権法第18条第1項)
むやみに公表されないということです。
但し、「未公表の著作物」の「著作権(財産権)」を譲渡した場合はや、「美術の著作物の原作品」や「写真の著作物で未公表のものの原作品」を譲渡した場合などには、著作物の公表に同意したものと推定されます。(法第18条2項)
著作者人格権は譲渡できないということを前回お話ししましたが、著作物が未公表の場合は、それを譲り受けた人が公表することに同意したと推定されますよということです。
氏名表示権
自分の著作物を公表するときに、「著作者名」を「表示するかしないか」、表示するとすれば「実名」か「ペンネーム」か等を決定できる権利です。(法第19条1項)
自分の著作物を公表する人に対して、「これを創り出したのは私!」ということを表示させる権利、つまり自分の名前の表示を求める権利です。
但し、例えば施設のBGMとして流れているような場合で、いちいち作曲者名をアナウンスすることが無いように、一定の条件を満たせば著作者名の表示を省略できる場合もあります。(法第19条3項)
同一性保持権
自分の著作物の内容や題号を、自分の意に反して無断で「改変」(変更・切除等)されない権利です。(法第20条1項)
著作者の意に反して中身を勝手に変えるのはだめということです。
例の「おふくろさん事件」がこれで問題になりましたね。
但し、著作物の性質やその目的・態様と照らして、やむを得ない場合は除きます。(法第20条2項)
例えば、印刷機の問題で色がうまく出ないとか、歌手の歌が下手とかですね。
まとめ
大事な事なので何度も言いますが、著作者人格権は一身専属なので、譲り受けることはできません。
著作権(財産権)自体を譲り受けたとしても、この著作者人格権は著作者に残ります。
著作権譲渡の契約書の中身を吟味するなど、この点には気を付けましょう。