申し出による農地転用許可の取り消し
ここまで農地転用許可を受けるためには・・・ということでみてきました。
しかし、実は転用許可を受けた後の取り消しの制度もあります。
せっかく苦労して許可を受けたのに、何で取り消したいの?と思うと思います。
農地転用許可を受けた農地において、何らかの事情で転用事業の実施が困難になり、引き続き農地として利用されている場合、固定資産税の課税上は、「宅地等介在農地」としての評価を受けます。
つまり、引き続き農地として利用しているけれども、宅地並みの課税がされてしまうということです。
そこで、転用許可を取り消して、課税上も農地に戻したいという需要が多くありました。
そうした要望を受け、平成30年7月から、転用許可の取り消し制度が施行されています。
取り消し要件
申し出による取り消しは次の要件を全て満たす必要があります。
・許可をもらった目的に関わる転用行為が行われておらず、今後も行われる見込みがないこと
・農地法第5条第1項の規定による許可の場合は、権利の設定や移転が行われていないこと(農地法第5条第1項は、「農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限」に関する条文です)
・現に耕作の用に供されていること(休耕期間中については別要件があります)
まとめると、転用許可をもらったけれども、やはり転用できない事情があったので、今後もずっと農地として使っていきたいし、現に今も自分の土地として耕作しているといった状況では、取り消しが認められるかと思います。
なお、この取り消しを申し出る人は、4条で許可を受けているのであれば申出人(本人)が、5条で許可を受けているのであれば譲渡人と譲受人の連名で申請することになります。